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11-2. 天然高分子
ゴムの木からしみ出る乳白液(ラテックス)が天然ゴムであ
る。いわゆるゴムのりは、生ゴムにロジンを加え、ヘキサ
ンやトルエンに溶解して造る。粘着性が強く凝集力もよい
ので急速に接着を行うことができるが、劣化しやすく、耐
油性耐溶剤性が弱く、工業用途は狭い。
にかわは動物の水不溶性タンパク繊維のコラーゲン繊維を
加水分解した水溶性の粉末。紙加工用、無線綴製本用、
ガムテープ用接着剤原料として使用される。
カゼインは牛乳中に含まれているリンタンパク質で牛乳に
酸を加えて沈殿したものを乾燥させた粉末。紙加工用、
ガラス瓶用接着剤原料として使用される。
工業的に用いられているでんぷんの原料は、トウモロコシ
が主で、馬鈴薯、小麦、甘藷、米も使用されている。紙
加工用接着剤、紙の表面サイズ剤原料、ユリア樹脂系接
着剤などの増粘剤として使用される。
でんぷんを加熱または酸などで処理したもので、粉体のま
ま約200℃で加熱したものを焙焼デキストリン・ブリテ
ィッシュガム、塩酸などの酸で処理したものを白色デキス
トリン、黄色デキストリンと称している。紙加工用接着剤、
紙の表面サイズ剤原料、切手・封筒・壁紙の糊用原料、
ユリア樹脂系接着剤などの増粘剤として使用される。
アスファルトは、各種の炭化水素を主成分とする固体〜
半固体の物質で瀝青(れきせい)とも称せられている。地
表屋根材等の接着剤原料として使用される。
天然ゴム
にかわ
カゼイン
でんぷん
アスファルト
でんぷん、
スターチ
デキストリン、
ブリティッシュ
ガム
68476-37-9、
68188-11-4
9000-71-9
9005-25-8
9004-53-9
8052-42-4
物質名称CAS番号主な用途・役割・特徴
接着剤などは塗布されたのち固化して性能を発揮しますが、その性能は主成分(有機系接着剤では高分子化合物)のもつ性質によるものが大きく、更にその性質を効果的に発揮せるためのさまざまな添加物が加えられています。また、どんな形状の接着剤でも被着材のすみずみまでに入り込み被着材表面を濡らすことが必要なため、塗布される寸前は液状になっていなければなりません。そのために必要に応じて接着剤を液状にするための添加剤(溶剤、水、可塑剤など)が加えられています。
これらの添加剤の他にも、粘着付与剤、充てん剤、増粘剤、顔料、老化防止剤、消泡剤などが要求される機能に応じて添加されます。多くの添加剤は僅かな量でその機能を発揮しますので、製品の中で占める比率は小さなものとなっています。
ここで紹介している各種機能を付与するために使われる化学物質については、一般的に用いられているものを採り上げています。メーカーはそれらの中からそれぞれの目的に合った化学物質を選んで独自の配合をして製品にしていますので、同じ種類の製品でもメーカー毎に使用されている化学物質の種類と量が異なっていることがあります。
それらの製品の主要な成分に関する情報については製品安全データーシート( M S D S:Safety Material Data Sheet)に記載されております。MSDSはメーカーのホームページに掲載されている場合がありますので、それらをご覧になることをお勧めします。
1. 主成分(樹脂、エラストマー)
接着剤の主成分は主に高分子化合物です(1-2. 主成分による接着剤の分類参照)。
主成分は、被着材、接着後の使用条件および要求される性能に応じて選定されます。古くは、うるし、にかわ、でんぷん、天然ゴム、アスファルトなどの天然高分子化合物が使われていましたが、現在では、それらの天然高分子化合物は使用される範囲が少なくなってきており、合成高分子化合物が大半の接着剤に広範囲に使用されています。
合成高分子化合物には、メラミン樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂などの合成樹脂 やクロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、シリコーンゴムなどの合成ゴムがあります。
家庭用接着剤の主成分には、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、シアノアクリレート樹脂、アクリル樹脂、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴムなどがよく使用されています。
2. 溶剤
溶剤は、主として溶剤形接着剤に使用されますが、その役割は接着剤の粘度を下げて流動性を付与することによって、被着材の表面の目に見えない凹凸を埋め、かつ、濡らして接着剤を被着材のすみずみまで入り込ませることです。そのために、主成分の高分子化合物をよく溶かす溶剤が選択・使用されています。
また、水系接着剤においては、水が主な溶剤ですが、高分子化合物を水に溶かすため、又は、均一に分散しやすくするために少量の有機溶剤が加えられることがあります。
有機溶剤には、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素。トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類。アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類。酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類が使われます。
現在、家庭用接着剤ではトルエン、キシレンを含むものはほとんどなくなりました。
3. 粘着付与剤
粘着付与剤は、接着初期に必要な粘着性を付与するために、主成分が粘着性に欠ける接着剤の場合に添加されます。主成分の性能を低下させないで粘着性を付与するために、主成分とよく溶け合う性質(相溶性)を持っている化学物質が選択されます。
具体的には、天然樹脂やそれを変化させたもの、また石油系合成樹脂が使用されます。
4. 可塑剤
可塑剤は主成分の樹脂やゴムに柔軟性を付与するもので、ビニル樹脂系の樹脂が主成分となっている接着剤に多く使用されます。
可塑剤として使用される化学物質は、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチルなどのフタル酸エステル類、アジピン酸ジイソノニル、コハク酸ジエチルなどの脂肪族2塩基酸エステル類、エチレングリコールアセテートのようなグリコールエステル酸、リン酸トリブチルなどのリン酸エステル類などが主なものです。この中で、フタル酸エステル類は環境ホルモン問題などの影響を受けてその使用は減少傾向になっています。
5. 硬化剤・架橋剤
硬化剤は、接着剤の主剤(反応性樹脂を含む成分)と反応し、硬化促進または硬化を調節する機能をもつものです。使用形態は単独の化学物質として添加するもの、何種類かの物質を配合した混合物として使用するものがあります。硬化剤の多くは接着剤成分を化学的に結合させて、三次元の網目構造を形成させる作用があることから、架橋剤とも呼ばれています。
ウレタン樹脂系接着剤には、イソシアネート類の物質が、また、エポキシ樹脂用にはポ接着剤の構成成分リアミン類、イミダゾール類、無水トリメリット酸などの酸無水物が使われます。また潜
在性架橋剤としてジシアンアミドなども使われます。
6. 希釈剤
希釈剤は、固形物の濃度および接着剤組成の粘度を低くすることを目的とする液状の添加物で、エポキシ樹脂系接着剤によく使用されます。希釈剤として使用される化学物質には、反応性のグリシジルエーテル類、グリシジルエステル類や非反応性のグリコールエーテル類、液状石油樹脂類などがあります。
7. 充填剤
充てん剤は、接着剤の粘度を調節すること、多孔質の被着材に対する滲みこみを防止すること、接着剤層の耐久性・接着強さなどの性質を改良することなどのほか、増量を目的として添加されます。
充てん剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、クレー、タルク、ホワイトカーボン(珪藻土)などの無機化合物が主なものですが、再生ゴム、セルロース粉などの有機物も使用されます。
8. 増粘剤
増粘剤は、エマルション(*1)、ラテックス(*2)の粘度を調節するために水性形接着剤に添加する水溶性高分子化合物です。天然物系ではカゼイン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、合成系ではポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウムなどがあります。
*1エマルション:合成樹脂を水に乳化分散させたもの*2ラテックス:天然ゴムまたは合成ゴムを水に乳化分散させたもの
9. 顔料
顔料は接着剤の色を、被着材に合わせて目立たなくすること、二成分混合形の接着剤で混合の度合いを確認しやすくすることなどを目的として配合されます。
顔料には、無機系のチタンホワイト、カーボンブラックや有機顔料が使用されます。着色目的で染料を使用する場合もあります。
10. その他の添加剤
接着剤に特別な機能を加えることなどを付与する目的で、老化防止剤、酸化防止剤、消泡剤、難燃剤、防腐剤、防カビ剤、香料などがあります。
■ 老化防止剤は、ゴム系の接着剤の主成分のゴムや粘着付与剤などの老化防止のために添加されるもので、ジタ―シャリーブチルヒドロキシトルエン(BHT)、N , N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン(DPPD)などがあります。
■ 酸化防止剤は、熱溶融形(ホットメルト形)接着剤の主成分の酸化防止に添加されるもので、高分子型フェノール系化学物質、芳香族アミン系化学物質のほかにリン系、イオウ系の化学物質などがあります。
■ 消泡剤は、原料を混合・反応させる際に発生する泡を消し安定した製造運転を可能にすること、接着層での泡生成を防止することの目的で添加されるもので、主にシリコーンオイルが使用されています。
■ 難燃剤は、接着層に難燃性を付与する特殊な用途目的で添加されるもので、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン、赤リン、デカブロモフェニルエーテルなどの化学物質が使われます。
■ 防腐剤は、主にでんぷん系紙用接着剤(のり)の一部に添加されています。以前はホルムアルデヒドが使われていましたが、建築基準法の改正により、食品添加物の保存料として使用されているプロピオン酸ナトリウムなどに変わってきています。
2つのものをつなぎ合わせるのが接着剤ですが、2つの間の隙間を生めるという効果、また隙間だけを埋めるという効果を求められるものがあります。面的に穴を埋めたりするものをパテ、線的に埋めるものをシーリング材やコーキング材と呼びます。
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